2025年12月2〜5日に2年に一度、上海で開催される、世界およびアジアを代表する海事・造船産業向け国際展示会・Marintec Chinaに参加のため、上海に訪問しました。

当展示会は船舶や海洋工学、造船用機器・技術、海運関連サービスなど、海事産業全般にわたる最新の技術、製品、ソリューションが一堂に集まる専門イベントです。

電動化が進む上海市街とMarintec Chinaで得た知見を共有します。

車・船の電動化が早い中国・欧州

Marintec China開催前日の12月1日、上海市内を散策しました。

現地で特に強い印象を受けたのは、中国におけるEV車(電気自動車)を中心とした新エネルギー車の急速な普及です。

従来、ガソリン車のナンバープレートは高額かつ抽選制でしたが、一時期、新エネルギー車については無料かつ即時交付される制度がありました。

こうした政策的な優遇措置が、新エネルギー車の導入拡大を大きく後押しし、中国のEV市場成長を加速させていると考えられます。

中国における新エネルギー車の普及率が約50%という数値は、実際に街を歩いてみると体感的にも十分に納得できる割合でした。市内を走る車両の多くがEVをはじめとする新エネルギー車で占められており、電動化がすでに日常の風景として定着していることを強く実感します。

こうした電動化の加速は自動車分野にとどまらず、船舶の電動化にも波及しています。

中国や欧州では、環境規制の強化や技術革新を背景に、電動船やハイブリッド船の導入が着実に進んでおり、海運分野においても脱炭素化への移行スピードが日本より速い印象を受けました。

EV車のような電化によって振動騒音大幅に低減され、運転が楽になる生活が当たり前になると、従来型の騒音や振動を伴う環境へ戻ることに対し、心理的な抵抗が生じる可能性があります。

この変化は生活環境だけの話ではなく、労働環境においても、電化・自動化・デジタル化が進んだ、より快適で安全な職場を人々が選ぶ時代になっていくのではないでしょうか。

これらを踏まえると、日本の内航海運が直面する深刻な船員不足の課題に対しては、単なる人員確保策にとどまらず、労働環境の抜本的な改善や安全性向上、さらに船員の教育・習熟に伴う負担を軽減する技術導入が不可欠であると痛感します。

青のナンバープレートのガソリン車に対し、緑のナンバープレートはEV車や燃料電池車等の新エネルギー車である。
上海市内を走る車のほとんどが緑ナンバープレートであった。
黄浦江に設置されている船舶用給電ケーブル。
このような給電システムが等間隔で設置されている。

労働環境の改善には船舶の自動化・知能化が欠かせない

Marintec China 2025は40か国以上から、合計2,200社以上の企業が出展しており、中国開催という背景もあって、出展企業の約57%を中国企業が占めていました。

今回の来場者数は1日あたり約25,000人。
2年に一度、日本で開催されるSea Japanの1日あたりの来場者数が約10,000人であることを踏まえると、本展示会が世界最大規模の国際展示会と称される理由を実感できました。

ブログでは書ききれないほど、多くのサービス・商品が展示されており、その中でも船員の労務負荷軽減し、かつ安全性に資すると思われるシステムを一部ご紹介します。

ブースの情報をそのまま掲載できないため、AIで要約したものを掲載します。

ブリッジから運航情報や機関情報を一元管理し、会社にもクラウドで共有されるエネルギーマネジメントシステム
テクノロジーによって一定基準の技術を保ち、労働負荷を軽減することが重要である。

人手不足が招く”技術力低下”をどのように解決するか

今回の中国出張により、中国や欧州等、各国の人手不足対策や環境対策に有用なサービスを確認できました。

日本の内航海運における人手不足は、単なる労働力の減少にとどまらず、現場で培われてきた技能やノウハウの継承不足という、より深刻な課題を引き起こしています。

熟練船員の減少により、運航・保守・安全管理に関する技術力の維持が難しくなり、産業全体の持続性にも影響を及ぼしかねません。

この技術不足を解決するためには、従来の「経験に依存した育成」から脱却し、電動化・自動化・デジタル化を活用した新たなアプローチが不可欠です。

たとえば、航海支援システム遠隔モニタリング、データ活用による運航最適化は、経験差による技能ギャップを補完し、若年層や経験が浅い船員でも安全に業務へ参入できる環境を整えます。

海外の先進事例も取り入れながら、労働環境改善技術継承を一体で進めていくことが、日本の内航海運の持続的成長に向けた重要な鍵となるでしょう。