sail tech 川名
sail tech 川名
数ヶ月の乗船に、忘れ物が発覚した瞬間のショックは計り知れないものです。より良い乗船になるようにチェックリストを作成し、毎回更新していきましょう!

もうすぐ乗船…

会社から乗船命令が下った時は、少し憂鬱ながらも荷造りを進めなくてはなりません。

準備万端でいざ乗船しても、前回の乗船で「これを揃えておこう!」「これがあったら便利」と思った物を買い忘れていたりするものです。

私も周りの船員が便利なグッズを持ってきて、「次回は自分も持っていこう」と誓っては、忘れることがよくありました。

今回は、私自身の経験と現役船員の情報を元に、お役立ちグッズを調べてみました。

※船員手帳や日用品などは省きます

※船によって持参禁止されているものもあります

空調設備が頼りないなら、自身でご用意を「ポータブル暖房機」

「部屋が寒くて寝れない…」

ただでさえ寝る時間がない船員が、室温によって寝れないとは致命的です。

ですが、船員では、よくあることだと思います。

室温調整の対策も一概に言えないことがあり、「Aさんはちょうど良くてもBさんにとっては寒い」という人的要因もあれば、「エンジンルームから離れている部屋ほど寒い」など環境の要因もあります。

温度を上げれば万事解決という訳にはいかないのが、船内における室温の調整で難しい部分です。

それなので自室の環境は、自身である程度の管理をする必要があるのです。

そこで、オススメなのがポータブル暖房機です。

仮に船内で自分だけが凍えている状況でも、ポータブル暖房機によって自分の好きなように調整できます。

温度調整だけでなく、乾燥しやすい船内だからこそ、加湿機能があるとなお良いと思います。

くれぐれも火気高温には気をつけましょう。

本州南側を中心に航行する場合は逆に、ポータブルクーラーを持っていく方もいらっしゃいました。

睡眠の”量”が確保されないなら”質”をあげる「安眠枕」

船員はとにかく忙しい

入出港を繰り返し、やっとの航海も時化ローリングでろくに寝れず終い…なんてことも日常茶飯事です。

荷役時間にもらう数十分の休憩時間で、仮眠をとることも多いでしょう。

そんな時に、オススメなのが安眠枕です。

自分の頭にフィットするオーダーメイドは、更にオススメです。

私はすでに自宅の寝具にお金を掛けていたため、寝具すべては難しいが、せめて枕を持っていったのが功を奏しました。

自分に合う枕にするだけで、回復量が違います。

高い枕ですと10万円を越える物もありますが、自分に合う質の高い枕を使う方が、心身ともに良い投資と言えます。

職員なら必須!「ノートパソコン」

職員現場作業だけでなく、書類作成も大きなタスク。

ドック引継書管理書類など大なり小なり自室で籠もって行うことが多いのではないでしょうか。

もちろん事務所に常設されている船のパソコンもありますが、性能操作性を比べると、やはり自分にあったパソコンの方が効率は上がります。

普段使いのパソコンの性能が高いのと低いのでは、作業効率雲泥の差です。

作業に打ち込むモチベーションにも関わります。

読み込みも早く、スペックが高いパソコンを選び、操作自体を楽しめる機器を持つことをオススメします。

船のローリング対策のため、必ず滑り止めマットを用意しましょう。

同じ通信機器という意味では、簡易無線受信機という声もありました。

強風時錨泊狭水道で、当直外で休憩に入ってても、本船がどういった状況にあるか、部屋である程度の把握ができるので便利です。

番外編:調理器具・医薬品

食事を自炊する船の場合はギャレーが狭く、他の船員と奪い合いになり勝ちです。

そうなると待ち時間がもったいないので、調理道具を持っていく方もいます。

1.5号炊き炊飯器や電気調理鍋、小型IHプレート、小型簡易調理具など、主に小型調理器具を持っていきます。

また、万が一の医薬品は基本的に船に積み込まれていますが、最低限、自分に必要な物があると安心します。

蕁麻疹対応薬・軟膏系・歯痛薬・便秘薬・胃腸薬・風邪薬・ハンドクリーム・etc…

他にも手回し充電機ラジオ付簡易裁縫セットなど、ざという時に無くて困るものを中心に持って行くと安心です。

充実した船内環境を、「できるところまで」自分で作り上げることが大切

船上での楽しみは、非常に限られています。

他にもギター腹筋ローラーダーツデジカメ(趣味にも仕事にも利用可)などが挙げられました。

持ち物だけでは船内環境が変わる訳ではありませんが、モチベーションには少なからず関わるのです。

コンフォート原則によると、以下のように説明されています。

本当に賢いお金の使い方は、「毎日、長時間使うもの」にお金をかけること

長期間、窮屈な船内で過ごすからこそ持ち物から見直し、少しでもワクワクする仕組みを作っていくことも、船員にとって長く活躍する秘訣ではないでしょうか。