賛否両論の外国人船員の雇用問題。
皆さんはどのように考えますか?
20年以上前から「内航業界は人手不足だ」と言われ続け、現在では人手不足が原因でついに船舶が止まる事態に陥っています。
2023年にとある教授から、従来からの船員不足や時間外厳格化、洋上風力発電関連の導入により、今後10年で1万6,000人の船員が必要と発表されました。
2021年における商船高専や海技教育機構等の卒業生は合計700人にも満たない為、このまま教育機関に頼っていても人手不足が解消されないは明白です。
人手不足の対策の一つとして外国人船員の雇用が挙げられますが、具体的にどのような規制が存在するのでしょうか。
内航船に乗れない最大の理由は、在留資格に船員が定められていないこと
外国人が日本国内で働く為に必要な資格といえば在留資格です。
私たちの生活の中で最も身近な外国人スタッフといえば、コンビニやレストラン、宿泊施設ではないでしょうか。
就労可能な在留資格は19種類あり、それぞれ業務内容や取得条件が異なります。
出入国在留管理庁「在留資格一覧表」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/qaq5.html
様々な在留資格がある一方で、内航船員に関する在留資格が見当たりません。
通訳や調理師等のサービススタッフ等は可能性がありますが、甲板部や機関部等の船を直接動かす部署の在留資格が無いのです。
内航船に外国人が乗れない理由は在留資格にあったのです。
在留資格及びカボタージュ規制の区別
在留資格に船員が定められていない事が分かりました。
様々なメディアで取り上げられるカボタージュ規制について掘り下げます。
カボタージュ:海運カボタージュとは国内の港間の旅客、貨物の沿岸輸送をいう。語源はフランス語。
カボタージュに従事する権利は、専ら自国船舶に留保されることは国際慣行上確立されており、二国間の通商航海条約においても、条約の適用対象から除外されている。我が国では船舶法第3条において、外国船舶によるカボタージュを原則禁止している。(出典元:国土交通省 海事局 用語集)
つまり日本国内の輸送は日本船籍でなければなりません。
以前もカボタージュ規制について触れました。
しかしながら自国船舶の記述はある一方で、外国人船員については書かれていません。
カボタージュ規制及び在留資格を整理すると、以下の状況である事が分かります。
外国人を雇用する為には、外国船籍でも運航が許される制度にするか、在留資格に船員の枠を設ける事が必要なのです。
現状の法律では内航船に外国人船員を乗せられない
上記から内航船における外国人船員の雇用は現実的ではない事が分かりました。
例外として永住者や配偶者が永住者、配偶者が日本人(自身がハーフ)であれば制限はありません。
結論としてカボタージュ規制の緩和又は在留資格として船員が認められなければ、外国人の直ぐの採用は期待できないでしょう。
但し、在留資格は業務内容や雇用形態によって出入国在留管理局に審査される為、審査されるまで白黒つけられません。
地方出入国在留管理局で無料相談が可能な為、外国人船員の雇用の詳細を確認したい方は一度ご相談される事を推奨いたします。
業界の総意として認識されれば、法律改正に動くと私は考えます。