学生時代はどのように過ごしたら良いですか?学校訪問やお問い合わせでよく頂く質問です。正解のない難しい質問になりますが、解説いたします。
船の学校に入学すると、これまで見たことも聞いたこともない専門教科を学ぶことになります。加えて人によっては寮生活や部活が始まり、慌ただしい生活が始まります。
一方で、一定期間が経過すると身体も慣れてきて、このままで良いのかな?と疑問を抱く気持ちも湧いてくるのではないでしょうか。特に向上心のある方はこの傾向にあると思います。
在学中に非常に優秀な成績を残した人がすぐに海運業界から離れる事もあれば、劣等生で成績最下位クラスが社会人になってから気合いと愛嬌で出世するケースがあるのが海運業界です。
一概に、学生として優秀 = 船員として優秀とは言えなさそうです。
船会社は中途半端な知識を持つ人間ではなく、誠実な人間を求めている
社会(船会社)が必要な人材を逆算して考えてみます。
入社しても即重要なポジションに就くことはなく、部員や職員の最も下位の役割を命じられます。
この下位のポジションでは雑用や掃除、先輩の手元など身体を動かす事が多く、学校で得た知識を活用する場面は少ないでしょう。むしろ「今まで学んだことはなんだったんだ」と思う程、かけ離れた業務を行う事がほとんどです。
知識をひけらかそうものなら、「そんなものは求めていない」などの反応が返ってきます。
怪我や死亡、事故が多い現場だからこそ安全に徹する、先輩船員の指示をしっかりと聞き、辛いことや大変な事があっても乗り越える事ができる精神力を持った人間が求めれます。
船種によっては数ヶ月帰宅できないため、体力もあった方が良いでしょう。
すぐに退職されるとこれまでの教育費に加え、人手不足に繋がりかねない為、人選は重要です。この通り、新人にとって必要なのは知識以上に、誠実さや精神力、体力なのです。
学校生活を活用し、人格と体力を磨く
それではどのように人格を磨き、いわゆる常識人になれるのでしょうか。
渋沢栄一著書の論語と算盤では、以下のように常識を解説しています。
何かをするときに極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、利益と損失に敏感で、言葉や行動がすべて中庸にかなうものこそ、常識なのだ。これは学術的に解釈すれば、「智、情、意(知恵、感情・情愛、意志)」の三つがそれぞれバランスを保って、均等に成長したものが完全な常識であろうと考える。さらに言葉を換えるなら、ごく一般的な人情に通じて、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力が、常識に外ならない。(引用元:渋沢栄一. 現代語訳 論語と算盤 )
寮生活では友人・先輩後輩・先生と毎日を顔を合わせる為、人間関係や会話に反省し、明日に活かすことが可能です。これらが生活習慣として身体に染み込めば非常に有意義です。
ただし、聖人君子でない為、毎日続けるのは難しい。それでも今日より明日、明日より明後日の為に、言葉遣いに気を付けたり、読書をしたり、些細なことでも思い遣ったり人の為に動くことはできるはずです。
さらに船員の視点を加えれば体力も必須です。
よく食べて、部活や海などで身体を動かす事も重要と考えます。私自身は野球部所属だった為、土日はよく友人と野球を楽しんでいた記憶があります。
社会に出ると資格勉強に充てる時間が極端に減る
先述の通り、入社すぐはどちらかというと頭よりも身体を動かす機会が多いと思います。
一方でやはり勉強も大事で、将来的に職員、船長・機関長を目指すのであれば、勉強も重要です。学校で学ぶ航海・機関の一般知識はもちろん、資格勉強の取得を目指しましょう。
在学中に一級筆記まで取得される方もいます(心から尊敬します)が、全員は難しいでしょう。
最低でも学校で取得できる1段階上級の免状を取得することを推奨します。但し、フェリーや客船、特殊船は社内規定により○級を取得しないと船長・機関長はできないなどのルールは存在します。
自分はどこを目指すか目標設定の上、取得する免状を決定する方がモチベーションは持続するものです。社会に出てからの資格勉強は非常に難しいため、在学中に思いっきり勉強することを推奨します。
私自身、クラスで20番目以降の成績から上級免状の勉強後、クラスで5番目に入った事があります。資格勉強することで学校の成績も上がる副次的な恩恵もあるのです。
現場や仕事に関する学びは深まるものの、資格勉強は資格取得のための問題のため別物です。まとまった時間が取れるかつ、勉強に集中できる在学中に取得することが最もおすすめです。
社会人前にやっておきたいこと3選
ここまで解説した中で、最も重視したい点は以下3点と考えます。
- 仲間や恩師とコミニケーションを図りながら、人格を形成する。(気づけば信頼関係も形成される)
- 身体を鍛え、健康的な生活を送る。
- 資格勉強を行い、上級免状の取得と学校の成績上昇を目指す。
ぜひ参考にしてみて下さい。
