sail tech 川名
sail tech 川名
「船員は憧れでした」「人生最後の仕事は船員でいたい」と話をいただく機会があります。50〜60代男性のキラキラした目で質問されると、本気で応援したくなります。

実際に未経験からの転職は可能なのでしょうか。

学生からの船員のなり方はこちらをご参照ください。

海技士免許は1年あれば取得可能

船の免許は海技免状と呼ばれます。

国家資格であり、取得しないと航海士や機関士などの「職員」にはなれません。

甲板手や機関手などの「部員」にはなれるものの、海運会社は職員を求めていることがほとんどです。

海技免状を取得するまでのハードルは高めですが、最近は船員不足の対策として短期間・低価格で取得を目指すことができます。

例えば6級海技士などは約1年で就職まで至ることができます。

【六級海技士短期養成課程】

座学(2.5ヶ月)+乗船実習(2ヶ月)の課程です。

課程修了後、船社での乗船経験(6ヶ月)を経て、6級海技士の受験資格が得られます。

また、課程修了者は、6級海技士試験のうち筆記試験が免除されます。

出典元:国土交通省 六級海技士短期養成コースの紹介

資格取得と同時に、船会社への就職活動は必須です。

実質、未経験でも船員になることは可能なのです。

船員は覚えることが沢山!務まらずに下ろされる人も…。

1年間の勉強の末、晴れて船員になったとしても、任務を遂行できるかどうかは別の話です。

船は毎日が目まぐるしく、荷役航海当直機器の保守整備緊急対応などに追われます。

作業一つ一つに責任があるため、精神的につらいこともあります。

また仕事だけではなく、乗組員との調和も取らなければなりません。

「仕事はできるが、協調性がないため船員としては難しい」とみなされ、下船を強いられることもあります。

体力だけではなく、技術力や協調性がないと、船員として続けるのは難しいのです。

未経験には大変な業界。反面、慣れれば長く活躍できる職場でもある。

船員は見聞きした情報量や経験が活きる現場のため、習熟まで時間がかかります。

私も上司から「デッキは5年、エンジンは10年で一人前」と言われて叩き上げられました。

船について学ぶことが多く、法律条約も知らなければいつの間にか違反を犯していることもあります。

船上では常に船にあるもので対応しなければならず、臨機応変に対処する力も必要です。

少しの異変も気がつくような感覚を鍛えることも大切です。

船は乗組員の総力で動いているため、コミュニケーションが必須となります。

職人のような船員も多いため、打ち解けるにも時間がかかります。

そんな大変な現場ですが、常に頭と手を動かしコミュニケーションを図れば自分も周りも慣れてくるものです。

勝手がわからない船上生活のため慣れるまで大変ですが、仕事を一人前にこなすようになれば、やりがいや達成感を感じられると思います。