船員にとって大きな楽しみである食事。
その食事にかかる費用は「食料金」として1日または月単位で、勤め先の船会社に最低限保証されています。
2022年から値上げが加速し、なお物価が上がっている現在、どのような変化があるのでしょうか?
物価に伴い、食料金を上げる会社がほとんど
総務省統計局「小売物価統計調査(動向編)調査結果」によれば、浮き沈みはあるものの2000年から米は約10%の値上げ。
醤油、食用油、牛肉、豚肉は20〜30%の値上げがなされています。
種類が豊富な魚の中で、もっとも価格変動が顕著なサンマを見てみると、1尾が約2倍にまで上がっています。
原因は気候や収穫量、海外情勢、為替、景気など様々です。
物価上昇に伴い、食料金を随時調整している船会社もあるほどです。
船会社 | 調整前 | 調整後 |
内航セメント船会社(非組合) | 3万円/月 | 4万円/月(2019年ころから) |
内航タンカー船会社 | 1200円/日 | 1400円/日 |
内航貨物船会社(非組合) | 1200円?/日 | 1400円/日 |
東京湾タグボート | ? | 1523円/日 |
内航タンカー船会社 | ? | 1350円/日 |
司厨長や料理当番との協力がないと、食料金の問題は解決できない
連日のように報道される物価高騰につい意識を向けてしまいますが、食料金を司る司厨長にも気をつけなければなりません。
料理が上手な司厨長でも、蓋を開ければ大幅なマイナス収支の方も多くいらっしゃいます。
私も船員のときに、「前任の司厨長が残したマイナスを立て直すのに苦労している」という苦言を、司厨長や船長からたびたび聞いていました。
また、今回の調査でも「食料金が上がってもマイナス収支の司厨長はいる」と伺いました。
食料金は1つの指標であることは間違いありませんが、賃上げだけが根本解決ではありません。
22年に値上げした食品の数は2万品目を超えました。
23年1~4月はすでに7000品目以上の値上げが予定されています。
出典元:日本経済新聞「食品値上げ、23年も家計負担重く 変わる消費まとめ読みhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC198NP0Z11C22A2000000/
今後も物価高騰することが見込まれる中で、司厨長の管理能力や乗組員を管理する体制がますます問われると考えられます。