「みんなの会社待遇って、どうなってるんだろう?」

「ウチの会社だけ、すこし特別なのでは?」

管理職になりつつある30代船員は、新人時代によく見た単なる「隣の芝生は青く見える」現象ではなく、周りの会社を参考にしながら自分が所属する会社の改善策を洗い出し、より仕事をしやすい環境を作り出すことに熱意を持っている方も多くいます。

海運業界を少しでも楽しくしたい想いと、参加者のリクエストから、今回のミーティングは始まりました。

本日の参加者

  • M汽船 コンテナ船 船長
  • M汽船 コンテナ船 機関長
  • N海運 セメント船 次一機士
  • 漁師(元E海運 タンカー 一機士)
  • 転職活動中(元S海運 タンカー 一機士)
  • 船員退職者
  • sail tech 川名

小樽・館山・唐津海上技術学校21期生が参加しました。

sail tech 川名
sail tech 川名
みんな忙しい中ありがとう!
今日は船員福利厚生について語ろう
船員
船員
錨地まで12マイル
sail tech 川名
sail tech 川名
え!?アンカー前!?

どうやらスタンバイ中の仲間もいましたが、今回も久しぶりに話す人が多く、会は盛り上がりました。

また、船員を続けなかった側の意見も今後の大きなヒントになるとの判断から、退職した仲間にも参加していただきました。

本日の議題

sail tech 川名
sail tech 川名
ミーティング前からいただいた議題をクラウドで管理。今日はたくさん話し合おう!
  • 冠婚葬祭などの待遇
  • 家族・家賃手当
  • 船の過ごしやすさ
  • 会社が面倒を見てくれる領域
  • 人間関係、イジメ

船会社の実情

参加者が所属する会社、所属していた会社事情を共有していただきました。

M海運(入社1年目)貨物船

  • 乗船:2ヶ月
  • 休暇:20日前後
  • 年間休暇:80〜100日
  • 船長:手取り40万弱
  • 休暇買い上げ:なし
  • 年齢層:全員30代
  • 家族手当・家賃手当なし

E海運(入社7年目)油タンカー

  • 乗船:10ヶ月
  • 休暇:2ヶ月あるかないか
  • 一機士:手取り40万弱
  • 休暇買い上げ:なし
  • 平均年齢層:40代
  • 家族手当・家賃手当なし

S汽船(入社7年目)油タンカー、RORO船、LPG

  • 乗船:3〜5ヶ月
  • 休暇:2ヶ月あるかないか
  • 年間休暇:105日
  • 一航士:手取り40万弱
  • 休暇買い上げ:退職時に一括
  • 出産祝・結婚祝い
  • 平均年齢:40代
  • 食糧金:〜¥1300/日
  • 法事は一等親まで対応可能
  • 家族手当・家賃手当なし

N海運(入社6年目)セメント船

  • 乗船:30〜45日
  • 休暇:14日
  • 年間休暇:80〜100日
  • 次一機士:手取り40万
  • 休暇買い上げ:なし
  • 毎年餅代、線香代いただける
  • 平均年齢:40代
  • 食費4万円/月 買い出し自分

S海運(入社11年目)油タンカー

  • 乗船:90〜115日
  • 休暇:1ヶ月前後
  • 年間休暇:90〜100日
  • 一機士:手取り40万
  • 休暇買い上げ:あり
  • 冠婚葬祭の融通は効く
  • 中元、毎年餅代、線香代、出産祝
  • 平均年齢:40代
  • 早くに昇進させようという動きはあった
  • 食糧金:〜¥1300/日

A海運(入社1.5年)RORO船

  • 乗船:3ヶ月
  • 休暇:1ヶ月
  • 年間休暇:105日
  • 機関員 手取り22〜23万

船内環境・会社待遇は、給料以上に重要視した方が良い

船員新卒で手取り25万円はよくあるパターンです。

稀に30万円を超えることもあります。

しかし、高収入が必ずしも満足に繋がるわけではありません。

休暇の周期や会社の待遇、事故、トラブル時の対応など、会社が船員をどのように扱うかが最大の焦点です。

給料に目がくらんで就職し、長続きしなかった船員は私の周りにも多くいます。

逆に長続きさせることができなかった会社側からすると、多大なコストを払ったのに、結果、早期退職という悲惨な結果になってしまいます。

船内環境・会社待遇に注目することは、船員・会社、両者にとって最も大切なことだと言えるのです。

船員
船員
錨効いたね。フィニッシュエンジン!
sail tech 川名
sail tech 川名
お、お疲れ様でした!

給与明細を掘り下げる

待遇面では、他にどのような手当が付くのか語りました。

1人の有志が、過去に所属していた船会社の明細を見せてくれました。

船員
船員
項目多すぎ!縦に長い!!

海運業界は初任給こそ高いものの、昇給が緩やかなため、他業種にいずれ追い抜かれるのが現状です。

海の上で心労が耐えないのに、給料と割に合わない!

このような心境になることは、往々にしてあります。

だからこそ、給料以外の面を充実させ、やりがいを与え、長く勤続してもらう環境づくりが必要なのです。

最後にカボタージュ規制についても、軽く議論になりました。

次回以降、海の社会課題について議論していきたいと思います。

海運業について一緒に考えたり、行動していきたい方は、こちらまでお願いいたします。