採用面接の申込みは多いが、希望とする船員が来ない…

最近は仕事の都合上、海運会社の担当者とお話する機会が増えたこともあり、よく耳にする言葉です。

いわゆる採用のミスマッチと呼ばれるものです。

他にも、採用したものの長続きしない、他の船員とトラブルが発生してしまうなども、ミスマッチの1つとして挙げられます。

頭を悩ませている経営者の方、担当者の方も多いのではないでしょうか。

今回はミスマッチが多い理由と、打開策について深堀りしていきます。

会社への問い合わせが多くとも、採用まで行かないと徒労に帰してしまう

現在、海運業界の採用の流れは、求職サイト、自社サイトからの問い合わせが主流です。

最近はソーシャルメディアによる情報発信をしている海運会社も多く、TwitterやFacebookからの導線を設けるケースも少なくありません。

設定や更新に手を煩わすこともありながら、Webによる募集のメリットは、やはり全国から人が集まりやすいことでしょう。

一方で、ミスマッチが起こりやすいことも事実としてあります。

原因は、お問い合わせをした求職者の顔と人格が見えないところから生まれます。

自社で抱えている船員の紹介でない限り、申込みしてくる船員の性格やスキル、経歴を把握することは困難です。

困難ゆえ、決まらないこともしばしばあります。

反対に、妥協して採用したのは良いものの、乗船後にトラブルが発生したり、すぐに離職してしまったりと落ち着くことが無いのが人材採用の難しいところです。

しかも採用にかかるコストは、採用広告費などの経済的コストの他に、時間的コストや精神的コストも掛かり、闇雲に取り組んでしまうと、いつの間にか時間とエネルギーだけ消耗してしまうことも多分にあります。

採用において、やり方を抜かりなく考えて、精度を高めていく他ありません。

求職者と自社とのミスマッチを防止する「ブランディング」とは

マーケティングにおいて、もはやブランディングという言葉を聞かない日はなくなりました。

一般的に下記のように定義されています。

ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略の1つ。

出典元:Wikipedia

一言で表すと、ブランディングとは、消費者が消費品やサービスに対して抱く価値や共感を高めることや、認知度向上を目的とした広報活動を指します。

つまり、消費者視点での会社の見られ方になります。

しかしブランディングは、サービス提供だけに使われるものだけではありません。

求職者に向けたアプローチを採用ブランディングと言います。

「この会社で働きたい」「こんな職場が憧れる」と思ってもらうことが目的です。

自社で働くイメージやメリット、理念など、自社を客観的に分析した上で発信し、求職者が入社を検討する段階からミスマッチを防止します。

適切なブランドイメージの提供で、自社への興味関心を惹きつける

海運業界では一般的に、自社メディアを活用したブランドイメージ向上は必要性はないと認識されてきました。

理由として、売上の9割以上は取引先や荷主さんとの関係にあるため、自社サイトを見て、「この会社に荷物を運んでもらおう」とはならなかったからです。

しかし海運業界も人手不足に陥った昨今、人がいないとそもそも船が動かせない状況となっています。

船を動かせないと売上が出ないため、深刻な状況です。

近年では人手不足倒産という言葉も出てきました。

企業がどれだけ優秀な人材を採用できるか、離職率を上げないかが経営持続の鍵と言っても過言ではありません。

教育機関の数の関係上、船員になれる人数も毎年決まっており、ある意味での企業間による船員の取り合いになっています。

また、価値観の異なるミレニアル世代・Z世代により、給料だけではない価値観も存在し、やりがいや社会的意義を持って取り組む人も増えました。

一昔のように給料が高いことをウリに出していた海運業界も、本質的な魅力を伝えていかなければなりません。

多様化も進む中で、船員を理解し、自社をよく分析し、魅力ある情報発信をしていければ人員不足を乗り越えていけるのはないでしょうか。