19歳のころ、船に乗りたての私は痛感していました。
学校で習ったことが現場で活かせないのは、とても辛いことです。
新人船員も入社前後のギャップに悩まない為に、就職前の調査を綿密に行います。
今回は就職における船員の着眼点について書いていきます。
理想と現実の差が、退職者を生む
海運業界における若手の退職理由として挙げられるのが、学校で習った仕事と、実際の仕事の差です。
学校や実習は厳しくとも、基本的に船員像が美化されているので、キレイではない仕事を任されては、モチベーションを維持することできません。
就職する会社への理想と現実は、若手だけではなく、万人に言えることでもあります。
求人票の記載事項と実態が全然ちがう!労働組合の規定もあって無いようなものだ!
私の船員時代も、40〜50代の中途採用の先輩が嘆いていました。
しかし考えてみると、船の運行スケジュールや内容からして、規定だけでは約束できないことが多々あります。
理想を追い求め続けるのが人です。
だからこそ会社側が予め、視覚に訴える画像や動画、文章をもって事実を伝えるほうが賢明なのです。
情報量の多さ、的確さが肝になる
全産業レベルで見ても、海運業界の情報量は少ないと言えます。
ここでいう情報とは、会社のコーポレートサイト、役に立つ情報、スキルです。
自社メディアを運用しているところも少なく、全体的に情報発信が乏しいのが現状です。
メディアを持たないのはなぜか、理由としては、会社の運営方法が挙げられます。
取引会社との関係、継続的な受注、過去の実績により資金が回っているので、メディアを運営する理由がどこにもありません。
しかしながら令和の現在、最低賃金も上がり、人は職を選ばなければ一定の生活ができてしまいます。
「この会社は自分を成長させてくれる」「ここで働くと、こんな利点がある」「自分の夢に繋がる」
多種多様な働き方ができる現在、お金以外の付加価値を提示しないと人が集まらないのも、実態と言えます。
嘘偽りのないイメージを与え、安心感を与えることが大切
自社のアピールポイントが見つからない!
よく聞く言葉です。
ただ、実際にはアピールより、真実を伝えているかどうかが要になります。
給与や待遇、保有船舶と船内生活、在籍中の船員など、ありのままを表現しているかどうかです。
「あなたがここに入ったら、このような生活を送る」という道標が鮮明であればあるほど、理想と現実のギャップは無くなっていきます。
現在、海の教育機関と船員の絶対数はやはり少数です。
内航船の現役船員でも3万人を切っています。
仕事ができる船員ほど希少価値が上がってきますから、他の会社との人の取り合いは避けられません。
会社の魅力・実態を真摯に伝え、願った船員が寄ってくるような情報発信をし続けることをオススメいたします。