稼ぎ方よりもお金の使い方に人格は出るものです。
「働いたら全部使わないで、少しは貯金しなさい。」
誰しも親から言われる台詞ではないでしょうか。
私も全く一緒の環境で育ちました。
船員時代も、独立した今も、変わることはなく、母に会えば「貯金してるの?」と聞かれます。
学生時代、卒業間際に、学校の恩師からも「船員の給料は収入が高いんだから、貯金はしとけ」と言われる始末。
しかし貯金の大切さは教えてもらっても、いくらまで貯金すれば良いのか、なぜ貯金が素晴らしいことなのか、具体的な説明はありません。
私もその言葉通りに1000万円の貯金をしたことがありますが、結論、貯金はそこまで重視するべきとは思いません。
今回は、船員の貯金について考察してみました。
若い時に大金を払って得た知見が、大きな財産となる
収入を得たら、生活費や必要経費を差し引いて、すぐ貯金に入れる方がいます。
その中でも「使うところがなく、なんとなく貯める人」や「目的があって貯める人」など様々です。
もはや趣味となってしまっている人もおります。
私も「目的があって貯める側」として、通帳を見ては喜び、実際、貯まる快感に浸っていました。
しかし単に貯めるだけでなく1回の乗船で貯めるお金は●●万円と上限を決め、それ以外は遊んで良いお金として旅行に行ったり、読書に耽ったり、以前の記事で書いた通り自由に使っていました。
参考記事:船員の休暇はなにをする?後悔しない休暇の過ごし方を考察してみた
船員を退職した後、47都道府県を回った経験や海外に行った経験は、今でも大きな財産になっています。
旅先で知り合った友人や地域と繋がり、ビジネスを生むこともあります。
すぐに結果に繋がるものではないので実感が湧きづらいかも知れませんが、見聞きした体験はやはり強力で、話す内容や習慣、人格にも影響を与えかねません。
若い時に学んだことが、半永久的に、その後の人生すべてに反映されるのであれば、それ以上効率の良い投資はないと言えます。
貯金のための人生か?豊かな人生を送るための貯金か?
無駄使いを無くすことは、素晴らしいことです。
しかし無駄使いをなくすために、苦心することでは本末転倒です。
例えば、たった数百円のお金を払ったら、時間短縮できたり労力が減ったりすることを渋り、不要な苦労をすることを指します。
偏りなく上手にお金を使うことは、とても難しいことであり、思考力が試されます。
船員に多い出費は、車や時計です。
他にも酒やタバコなどの嗜好品、服なども挙げられます。
総合的に、見栄にお金を使う船員が多かったと見受けられます。
私は物欲があまりなく、また無駄使いが嫌いなため、無作為にお金を掛けることは、ほとんどありませんでした。
逆に先輩後輩との飲み代や旅行、家族へのプレゼントなど、お金を使う前に真剣に考えてから、維持費が掛からないものを買うことが多かったと言えます。
ただ、これらすべて個人が考えを持って使っているお金なので、使い方に正解などはありません。
将来を見据え、節度を保ち、自分にとって幸せなお金の使い方を、常に自問自答することが大切ではないでしょうか。
自助努力を求められる時代だからこそ、お金について学ぶ
世の中を見渡せば、消費税率引き上げや社会保障制度の不安、新型コロナウィルスの影響など、つい2〜3年前では予期せぬ出来事が続出しています。
給付金や補助金がある一方で、国に依存し、頼れなくなることも、もはや明白です。
私の周りでも補助金申請をしている方が多くいらっしゃいますが、申請後、半年以上経っても、音沙汰ないことが当たり前のようにあります。
そういった社会的背景の中、「豪快にお金を使うこと」が美談とされた、一昔前の船員像は、もはや時代遅れと言わざるを得ません。
だからこそ、もしもの支出のために自己責任のもと、貯金や資産運用をしておく必要があるのです。
後先を考えずに貯金が無いことも問題ですが、風評に踊らされてお金を使うことに恐れを抱くのも機会損失を招きます。
使うお金と貯金のバランスを見ながら、お金を稼ぐだけでなく、使い方についても真剣に学ぶ時間を作ることが、大切ではないでしょうか。