日本本島と離島を結ぶ離島航路

住民がいる離島と本島を行き来する上で欠かせない存在です。

離島とは、伊豆諸島や瀬戸内界に浮かぶ有人島を指します。

なくてはならない航路が故に、国からの補助金が出ることもあります。

民間会社だけではなく、第3セクターが手綱を握ることも多いのです。

最近取り上げられた粟島汽船も、第3セクターでした。

給料水増し問題で「働きすぎ」や「過酷な労働」と記事になりましたが、巷では多くの非難もありながらも、思わず同情してしまう船員もいらっしゃると思います。

休みなしで過酷な船内生活を強いられるので、まともな判断と精神状態が維持できなくなる心境もわかる気がします。

しかし、それらも離島航路に潜んでいた問題が末期を迎え、表面化してきた印象があります。

私も現役の時は離島航路に最も関心が高く、清濁ともによく調べていました。

まだまだ探求中ですが、今回は離島航路の問題点と対策について解説していきます。

権益に潜んでいた経営の罠

離島航路は国には欠かせないインフラです。

万が一、赤字でも、国や自治体からの支援があるため憂いがないことが、他の船会社と異なる部分です。

島民や観光客の出入りが多くなるほど、収入も増えます。

実際に船員時代に「あの航路は人も多く、よく稼いでいるらしい」と先輩船員から聞いたことがあります。

しかし時代の経過とともに、日本は人口減少と島外への人の流出によって、島を行き来する人口は目減りしているのが現実です。

人口減少に連動し、島が衰退すると観光客も減ります。

島民の移動や物流、観光客に魅了された運営のはずが立ち行かなくなる。

以前、「2017年度、全国296の離島航路のうち120航路に国費だけで70億円がつぎ込まれた」という記事もありました。

インフラでかつ国からの援助によって運営も心配なし、といったことは無く、惨憺たる状況に頭を抱えている経営者が多くいるのです。

海と船を知らぬ経営陣だけではうまくいかない

船員から見ても、離島航路の運営の難しさは計り知れません。

島民・物流・観光の収入面と、船の修繕費検査費燃料費岸壁使用料人件費の支出面を考慮したときに、どのような経営をすれば黒字化するのかイメージが湧きません。

船員から収入面は理解し難いところですが、支出面なら長く働いている船員なら理解できます。

また人材確保も難しく、島の近隣に住んでいない船員でないと確保できません。

船の学校の恩師もよく「船員あがりの社長も難しいところがあるが、船を知らない社長はもっと困難」と仰っていました。

現場を知るという意味で、次期社長が乗船する船もあります。

自治体の有権者が、海と船を知らず船会社の社長を片手間でできるものでは決してありません。

数字だけでは推し量ることができないことも船の難しさです。

問題を抜本的に見直し、若い力とテクノロジーに任せる勇気を

離島航路の問題点をざっくり分けると、売上では大きく「集客」と「単価」、支出では「人件費」と「船にかかわる費用」です。

それらを国や自治体に依存せず、包括的に解決できる対策が必要です。

最近のベンチャー企業を調べると、瀬戸内海の郵送をドローンで行う実験や船の自動運転による輸送が目に留まります。

無論、実験中ですぐに稼働できるものではありませんが、決して遠くない未来にそのような革新的なアイデアとテクノロジーが解決の一手となることが予想できます。

少し前は離島航路統廃合、航路や船員、事務機能を合併し、無駄な経費を削減する記事もありました。

私も統廃合には賛同しています。

しかし国からの支援(権益)もあるため、統廃合の流れが著しく進むことはなさそうです。

新しい取り組みへの風当たりが強く、権益に群がる風潮が消えない限り、この離島航路にかかわる問題は解消できないでしょう。