コロナの影響で免許取得者が増加した小型船舶操縦士。
小型船舶は長さ24メートル未満のプレジャーボート、その他の船舶は20トン未満と定められています。
1級も2級も乗れる大きさは一緒です。
免許の種類別では、1級が1万9837人で前年度比30.4%増。2級免許(湖や川に限定したものを除く)は2万9226人(22.7%増)、水上バイク用の特殊免許は2万2346人(26.7%増)だった。
出典元:日本経済新聞 小型船舶免許合格、25%増の7万人超 コロナ後押しかhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF210GY0R20C21A4000000/
以前の記事でも、1級と2級の詳細について解説しました。
1級と2級どちらがオススメ? 小型船舶免許の航行範囲と費用感を紹介
さて海に興味のある方なら老若男女問わず、取得を考えている方もいらっしゃると思います。
これから取得される30名以上の方々へ実際に伺ったところ、16歳女性から70歳男性とまさに老若男女です。
取得前の心境を伺ったので、生々しく解説していきます。
合格率95%以上!教習に真面目に取り組めば取得できる
受講に際し、取得が難しいイメージを持つ方が多くいらっしゃいます。
特に学科教習を受けた後に「こんなに勉強するものだと知らなかった」とため息混じりの方も少なくありません。
しかし心配はよそに、多くの教習所の1級2級の平均合格率は95%以上です。
では本当に簡単なのか、科目と合格ラインを見ていきます。
学科
2級小型船舶操縦士
科目 | 小型船舶操縦者の心得及び遵守事項 | 交通の方法 | 運航 |
---|---|---|---|
配点(1問10点) | 120点 | 140点 | 240点 |
合格基準 | 12問中6問以上 | 14問中7問以上 | 24問中12問以上 |
各科目50%以上かつ、すべての科目の合計で65%以上の点数(50問中33問以上)を取らなければなりません。
1級小型船舶操縦士
2級小型船舶免許の科目+以下が追加されます。(合計5科目)
科目 | 上級運航1 | 上級運航2 |
---|---|---|
配点(1問10点) | 80点 | 60点 |
合格基準 | 8問中4問以上 | 6問中3問以上 |
2級と同様、各科目50%以上かつ、すべての科目の合計で65%以上の点数を取らなければなりません。
内容は船長の心得から、海上での運航方法、船体構造、天気など多岐にわたります。
実技
1級も2級も同じ試験内容です。
科目 | ①小型船舶の取り扱い | ②基本操縦 | ③応用操縦 | 合計 |
---|---|---|---|---|
配点 | 60点 | 120点 | 120点 | 300点 |
科目 | 内容 |
---|---|
①小型船舶の取り扱い | ・発行前の点検 ・機関運転 ・トラブルシューティング ・解らん・係留 ・結索 ・航海計器の取扱い |
②基本操縦 | ・発進・直進・停止 ・後進 ・変針(旋回) ・蛇行(連続旋回) |
③応用操縦 | ・人命救助 ・避航操船 ・離岸 ・着岸 |
各科目60%以上かつ、すべての科目の合計で75%以上の点数を取らなければなりません。
内容は実際に操船し、点検やエンジン始動、航行、人命救助、蛇行、離着岸などに至ります。
学科も実技も講習は1日のみです。
「合格率95%」の解像度を上げると、決して簡単ではないことがわかります。
受講生が時間を見つけて、学科やロープワークをかなり復習した結果なのです。
以上、学科試験と実技試験と身体検査が合格であれば、免許を取得できます。
船は楽しい!しかし一歩間違えると凶器にも
晴れて免許を取得し、いざ乗船すると、その解放感に驚かれる方も多いです。
さらに自身が船長になって好きなところに行けるため、充実した時間を満喫できます。
今でも接待やパーティに重宝される所以です。
しかし準備を怠ったり、適切な判断や処置を取れなかったりすると、事故を起こしかねません。
我が国の周辺海域において,交通安全基本計画の対象となる船舶事故隻数の推移をみると,第2次交通安全基本計画期間(昭和51~55年度)の年平均では約3,232隻であったものが,令和2年では1,954隻となっており,約4割減少した(第2-1図)。また「令和2年までに少なくとも2,000隻未満とする」という第10次交通安全基本計画の目標を達成した。船舶種類別では,プレジャーボート,漁船,貨物船の順で事故隻数が多く,小型船舶(プレジャーボート,漁船,遊漁船※)の事故隻数は,全体の約8割を占めている。
令和2年における,船舶事故による死者・行方不明者数は70人(前年より10人減少)であり,このうち53%が漁船,21%がプレジャーボートによるものである。
また,船舶からの海中転落による死者・行方不明者数は,77人(前年より1人増加)であり,このうち64%が漁船,16%がプレジャーボートによるものである。
内閣府 第2編 海上交通 第1章 海難等の動向 https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r03kou_haku/zenbun/genkyo/h2/h2s1.html
内閣府公表のデータをみると、令和2年の事故隻数は1,954隻であり、その8割は小型船舶です。
プレジャーボートの船舶事故による死者・行方不明者数は約15名、船舶からの海中転落による死者・行方不明者数は約10名と、年間30名近くの尊い命が失われていることがわかります。
安全に徹し、用意周到に努めれば素晴らしい趣味
船は楽しく、人生を変えるインパクトある体験になりますが、油断はできない乗り物です。
天候や船の航行状況も千変万化する海上のため、新人でもベテランでも確実な準備が求められます。
船長と乗船した瞬間から多大な責任を負うため、気を引き締めましょう。
最初は怖いですが、出港回数を重ねれば上達していきます。
免許取得後もトレーニングできるマリーナもあるため、活用しても良いかもしれません。
私が伺った小型船舶免許の取得動機です。
- 船外機付きのヨットを譲り受けたから、免許を取りに来ました(60代男性)
- 父と操船を楽しみたい(10代女性)
- 陸から行けないポイントまで船で行って釣りを楽しみたい(20代男性)
- 時間ができたから取りに来ました(20代男性)
- 将来の役に立つと思い、免許を取得しに来ました(20代女性)
- 取得したら離島に移住します(40代男性)
動機はまさに十人十色です。
船あそびの寿命は長く、70歳を超えても取り組んでおられる方は沢山いらっしゃいます。
素晴らしいマリンライフをお過ごしください。
免許取得は大手のヤマハボート免許教室さんが安心かつ丁寧で最もオススメです。