海運業の主な収益源は旅客・貨物輸送です。
しかし「輸送」を少し分解すると、貨客単価や数量、客数、距離、航海数、物価に影響を受けてしまうため、不安定と言わざるを得ません。
海運会社が海運業だけで事業を継続をしていくにも、難しい世の中になったと言っても過言ではありません。
とある大手の会社でも、海運は会社全体の売上の約3割という驚きの数字も出ています。
また海運業以外の収益例として、土地や施設使用料、代理店料金がありますが、新規参入はとても難しい状況です。
私も最近は、海運会社さんや船員さんと話をする機会も多く、一緒に考えることが多かったので、記事を作成しました。
恥ずかしながら私も現役船員の時は、「全国の離島航路をすべて1つの会社にすれば、あらゆる課題が解決するのでは?」と、企画書を作って経営者に見せに言っては、アレやコレや言われたものです。
海運会社さんの課題解決のため、少しでもご参考になれば嬉しいです。
必ずしも優れている商品・サービスが売れるわけではない
古今東西、優れているものが売れているわけではありません。
作った本人が「これは発明だ」と言われるものでも、大金を投じたのに独りよがり、売れずに幕を閉じることなど歴史上、山のようにありました。
コンコルド効果が良い例です。
ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。
まずは課題やストレスを解決した、商品・サービスの売上が伸びている現実を知るところから始まります。
作ったら売れる・優れたものは売れるは幻想です。
そのため、顧客がなにを求めているか?という調査は絶対に外せません。
新規事業を考える前に、自社のコストを洗い出す
人はついつい「新しいことをしたら良いのでは?」という具合で、新規事業に目を向けたがる傾向があります。
私は新しいことに目を向ける前に、まずコストを見直すことをオススメしています。
コストと聞くと経済コストを一番に意識しますが、金銭面以外の部分もあります。
例として時間コストや肉体的コスト、精神的コストです。
経済コストを削るばかり、時間がかかってもいけませんし、心身負担が掛かるものだと本末転倒です。
また、会社の社員人数や所在地、船の隻数にもよるため、一概に「これが良い」というものはありませんが、「コストカットするべきものはなにか」を考えなくてはなりません。
もっとも身近なのを考えると、クラウド管理による業務改善、業務改善による人件削減、人権費削減から他社へのコンサルが考えられます。
課題解決の糸口とは、まさに灯台もと暗しで、意外と足元にあったりするものなのです。
変革を求められる時代だからこそ、新規事業に乗り出す体制作りが大切
海運業は少し前では考えられないことが、日々起きています。
新型コロナウイルス禍を受けた「巣ごもり消費」拡大や原油需要の鈍化、荷役の効率低下などで相場が乱高下し、季節的な変動が現れにくくなっている。市場の不透明感は続きそうだ。
もはや輸送費のみでは不安だからこそ、新規事業や業務改善の検討は必須といえます。
まずは会社や業界の常識を疑ってみるところから、始めても良いのではないでしょうか。
会社では陸上社員、船では船員がストレスを抱えています。
社員の声を聞くことが、近道になる場合もあります。
イノベーターは「イノベーションを起こそう」と思って、仕事をしているのではなく、必ず具体的な「解決したい課題」があって仕事をしている。
引用元:山口周. 『武器になる哲学』.KADOKAWA,2018
イノベーションと聞くと格好良く聞こえますが、本質は課題解決ということがよく分かります。
私も今後、海運会社さんや船員さんと意見を交わし、持続的なサービスを一緒に考えて行きます。