私たちの生活に欠かせないガソリン軽油灯油

車を持っていない方でも日ごろ購入する食材生活消耗品には、運送費用であるガソリン代も含まれています。

日本は自国で消費する分の1%未満もつくられないため、産油国に頼っているのが現状です。

その産油国から原油を購入し、船で大量輸入の後、国内で精製されます。(レギュラーや軽油、灯油にかえる)

精油所に船がつき、タンクに積んで日本各地の港へ届けているのです。

その輸送量は450〜500億トンとなり、日本の石油は80%以上がタンカーによって運び込まれています。

出典元:我が国の国内物流における内航海運 令和元年8月 国土交通省海事局

原油からはLPガス、ガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料、軽油、重油、アスファルト、潤滑油などありとあらゆる油が精製されます。

オイルタンカーは主に2種類に分かれる

  • 黒油タンカー:重油
  • 白油タンカー:ガソリン、ナフサ、軽油、灯油、ジェット燃料

黒油と白油の違いは粘土や発火点、揮発性です。

荷役の仕方から取り扱いまで異なるため、黒油を積むタンカーと白油を積むタンカーでは港湾のルールが異なるのです。

過酷さは海運業界トップクラス…しかしタンカーならではの魅力もある

タンカーといえば3K(きつい・汚い・危険)がよく合う乗り物です。

荷役中は全員参加で取り掛かります。

油という危険物を安全に積み揚げするために、指差呼称を徹底しダブルチェックを怠りません。

一瞬の油断が事故を引き起こすため、みな徹底しています。

長いときで8〜12時間、短くとも3〜4時間は集中して従事します。

航海中も休みはなく、タンクが空ならばタンク掃除、積んでいても保守作業が待っています。

油は危険物であり海洋汚染につながるものなので、管理体制は厳重です。

また港間の距離が短ければ、航海時間も短く、休みも減ります。

「時間があったら寝ておけ」と呼ばれるほど、タンカーは過酷な環境なのです。

逆にタンカーで一人前になれば、どこの職場でも通用するといわれたものです。

私は新人時代にタンカーでみっちり鍛えてもらったので、心身ともにつらいときがあっても乗り越えられたのだと思います。

過酷な環境は「人」を磨く

タンカーは液体荷物を運ぶため、波浪予報が4メートルあるとしても航行することはよくあります。

荒れる海を走ってそのまま港に到着し、夜間まで荷役となるケースも日常茶飯事です。

心身ともに本当に大変な職場です。

睡眠不足や過労で注意散漫となり、怪我や事故を引き起こすこともある環境です。

だからこそ辛い中で励まし合ったり、本音をぶつけたり、私は人間の底が見える環境だと思いました。

普段は覆いかぶさっている人間の建前ではなく、限りなく本音の部分です。

私は様々な船に乗ってきましたが、タンカーが最も人と近くなれる気がしました。

船を退職した今でも、タンカーに乗っていた人とは交流が続いています。

大規模な精油所がある四日市

激務から解放されたからこそ、休暇中を大切に過ごす

タンカーは3〜5ヶ月乗船し、1〜2ヶ月に下船となります。

休む間もない、仮バースもほとんどないタンカーから、休暇への解放感は言葉に表せません。

家族との時間や旅行、飲み歩き、高額の買い物など、夢は膨らむばかりです(笑)

私はほどよく遊びながら、貯金することができました。

参考:船員の休暇はなにをする?後悔しない休暇の過ごし方を考察してみた

タンカーの給料は危険物タンク掃除などの手当が含まれているため、他の船の給料よりも高い傾向にあります。

私は24歳の二等航海士で年収600万近くありました。

危険物に接するのにそれでは安くないか?という意見もありましたが、私は働きがいと汗をかいて思いっきり打ち込めるタンカーの環境に満足していました。

東日本大震災が起こった際に、西日本にある石油を東北や関東にどんどん運んだことも。

生活に欠かせないインフラだからこそ、天災や情勢に左右されます。

困難なことも沢山ありますが、今後の成長を願う人からすると、うってつけの船だと思います。